今回は珍しく、商品市場で起きたビックニュースについて触れていきたいと思います。なぜなら、一生に一度遭遇するかどうかの大事件だと私は考えたからです。
投資に全く興味がない方は面白くないかもしれませんが、ガソリン価格の決まり方にも触れてみますので、よろしければ最後までご覧ください。
どんなことが起きた?
日本時間4月20日未明、米国でトレードされている原油先物価格(WTI)が史上初のマイナス37ドルを付けました。金融商品がマイナスになることはありえないという常識があったかの様に思えましたが、なんとマイナスに。要は「1バレルの原油買ってくれたら37ドルも付けますよ」という状況でした。
商品先物取引ってどんなん?
私は新卒で(12年前ですが)商品先物取引の会社に入り、営業をしていました。その時、お客さんに「こうゆう商品で、価格がこう上がると爆益になります」という営業トークをして利用者になってもらうという仕事をしていました。正直ハイリスクな金融商品ではありましたが、世の中にはないといけない市場だということは理解していました。そして、株と違う市場構成になっていることも面白かったです。
商品(金や原油など)はほとんどが需要と供給のバランスで価格が決まっています。
株や為替と違いチャート分析はあまり関係ない様なイメージがあります。一定期間を切り取るとオシレーターが当てはまることもありますが、年間ではあまり意味をなしません。
とかく、穀物などはそうです。トウモロコシ、大豆、小麦、コーヒーなどは天候相場と需給相場で分かれ、米国の農務省の出す生産予測でガラリと相場観が変わってしまいます。
これが商品先物取引です。
原油に何が起きたのか?
では今回の原油大暴落とはどういう現象なのか?私たちに影響するのか?
知りたいのはここですよね?
私はこの大暴落が生活に与える影響は極軽微だと考えます。確かに今、歴史的安値で原油が取引されているのでここから半年くらいは安い時期が続くと思います。が、ガソリンスタンドでただ同然で給油することはできないです。
今回の原油の大暴落は原油という商品の期近(きじか)の商品にだけ起こった現象なのです。
商品先物とは平たくいうと5月もの、6月もの、7月もの・・と半年先まで価格がそれぞれ違うのです。一番期限が遠いものを期先(きさき)というのですが、基本的にはここが一番値段が高いということになっています。なぜなら1ヶ月分の保管コストより6ヶ月分の保管コストの方が高いからです。正確にはそれだけではないですが、そんな感じです。
で、この原油を取引しているのは誰か?主な参加者は商社、石油業者、それから投機家と呼ばれる機関投資家です。機関投資家の中には金融機関もあればヘッジファンドの様なトレード収益を追い求める投資家もいます。
で、期近(きじか)の商品というのは買いエントリーし、期限が過ぎたら現受(げんうけ)しなければいけないことになっています。
ところが、今の石油備蓄施設事情としてはどこも満杯状態で現受することができないので、買いエントリーのまま期限をまたがない様に投げ売りをしたということだったのです。
私的には「よく買いと売りが成立して値がついたな」という印象も受けましたが、売りエントリーでギリギリまで売りポジションを持っていた超一流のファンドがあったのかもしれません。そのうちマイナス石油王がメディアに出てくると思いますw
ガソリン価格はどうなる?
では私たちの生活に直結するガソリン価格は安くなるのか?
これは日本の東京商品取引所で取引されている「ガソリン」が指標になります。
原油を海外で買ってきて、日本の沿岸部の製油所で精製してガソリンや灯油、ジェット燃料、重油などができます。その価格を見なければいけません。
海外から買ってくる原油が安くはなっているし、ガソリン価格も下落しているが、外出自粛モードで消費が一向に上がりません。故に企業はボランティアではありませんので、原油が安くなった分の値下げはしないと思います。
ただ、若干は安くなると思います。
で、日本は水曜に石油の在庫統計を出していて、ここで、日本の在庫状況を確認しています。ということは木曜日以降になると価格が反映されてくるということになると思います。
んで、土日のドライブ曜日になるとのぼりをたくさん出したガソリンスタンドをよく見る様になるのです。
私的には土日に給油する方がいいのでは?と考えていますが、石油元売り各社、小売店各社、値段はバラバラですので、ご地元の販売店の値付けの癖をリサーチされるのがいいかと思います。
まとめ
ということで100年に一度の原油暴落に立ち会えましたので、記念にブログを更新してみました。
原油が暴落したのは、備蓄タンクが満杯ということもありますが、投機的にうり浴びせられたという感じでしょう。売りが売りを読んだという現象です。最近はAIが取引しているので、一方方向に値段が飛び易いです。
ちなみに1929年のブラックマンデーは投資をしていない人も聞いたことがあると思います。世界恐慌に陥った世界は第二次世界大戦という最大の石油消費活動と最大の公共事業を行い、この恐慌を脱したとも言われています。
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原油安からの2回目の世界恐慌や戦争なんてありえない話ですが、原油暴落は途轍もなく黒くて暗いニュースだった様に思います。
コロナが終息して、ワクチンができて、治療薬が早くでき、元の生活に1日も早く戻れることを願っています。
自粛、疲れましたね。がんばろう!
